〝おひとりさま〟を存分に満喫するために！守りたいマナーとは
「女性のひとり旅はホテルや旅館から敬遠される」。
これは、今ほど、「おひとりさま」というコトバや概念が世間に広まっていなかったと思しきひと昔、ふた昔ほど前に、まことしやかに語られていたことです。
では、いったいなぜ、おひとりさま、その中で女性のひとり旅が旅行者を泊めることを生業とするような宿泊施設でいやがられたのでしょうか？
理由として考えられるのは、まず、10年、20年ほど前の女性は、同世代の独身男性に比べると、経済力が低い、と考えられがちでした。職種やその立場によっては、女性の方がはるかに収入が高い、というケースもあるのですが、一般的には「男性より、女性の方が収入は低い。自由になるようなお金を女性は男性より持っていない（はずだ）」と決めつけられてしまっていたのかもしれません。
また、「男はこう、女はこう（あるべき）」という性別的な役割という概念が世間的に、今よりはるかに顕著でしたから、「女性というものは、経済力は男性より劣るけれども、経済観念は発達している」と考える人も多く、そうであるように務めよう、という女性もけっして少なくなかったはずなので、どちらかというと、女性は倹約傾向にあり、旅先でも、男性ほどハメを外してお金を遣いまくったりしない、ましてカタチの残らないもの、たとえば、男性だったら、昔だったら芸者、イマドキならコンパニオンのような女性を呼んで酒席を楽しんだり、それ以上のサービスを望んだり…、ということも少なくないわけですが、そうしたことに対し、女性はお金をつかわないもの、と思われていたのですね。従って、女性のひとり旅はお金をつかってくれない、ひとりだろうが、ふたりだろうが、それ以上であろうが、部屋というものは、必ずひとつは用意しなければならないけれど、ひとり旅の女性は、惜しみなくお金をつかってくれるわけではないから、効率が悪い。できれば、泊めたくない、というのがホンネだ、というようなことだったのではないでしょうか。
髪は女の命、などという古式ゆかしい言い伝えもあることから、ロングヘアだった人が、髪を短く切り、ショートカットにすると、「失恋？」などと、冗談めかして言われた覚えのある方もあるかと思いますが、女性のひとり旅に対しても、傷心旅行を想起してしまう人が、とくに50代以上の、年配世代には少なくないようです。これもまた、女性のひとり旅が敬遠されがちな理由のひとつ、と考えられています。
単なる決めつけでしょ！偏見だわ！などと反論したくもなってしまいますが、このような昔ながらの思考を持った人、というのは10年前、20年前と比べ、はるかに少数派になったとは言え、まったくいなくなったわけではありません。
これから、おひとりさまを存分に楽しもう、と思っているとき、このような考え方を持つ人と接したときに、どうしたらよいか？それはひとつ、「相手にとっての優良な客」になる。このことに尽きると思います。できる限り、感じのよいリアクションを心がける。無駄遣いを推奨するわけではけっしてないですが、必要と思うところでは、気持ちよくお金を支払う。心からのおもてなしに対する、気配りを忘れない、ということです。
そういうことの積み重ねが、女性のひとり旅、おひとりさまに対する思い込み、偏見を拭い去ることへの契機になると思います。
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