小説を書いてみる…!もちろん、誰にも見せない、読ませない!

濱田心美さん(33歳・仮名)のひとりの愉しみ、それは〝小説〟。小説を読むこと、読書をすることももちろん大好きだけれど、それ以上に、心美さんが大事にしていること、それは、小説を「書く」こと。

小説は、発表したり、懸賞小説に応募したりしているんですか。「どこかに発表して、感想をもらったり、ファンレターをもらうこと、そういうことを夢見てたり、ちょっとやってみたりしてたことはあります。でも、今は純粋に、自分ひとりの愉しみのためだけに、こっそり書いています」。

今ではこっそり…、ですか。それはなぜ?

「人様に読んで頂くのはもったいない!とんでもない!という創作に自分の心がシフトしてきてしまったせいなんです」。

学生時代、文芸部に所属していたこともあり、気の合う仲間たちと同人誌をつくり、展示即売会をしたり…。ライターをして、雑誌社から謝礼を得たこともあると言います。

でも、文章を書く仕事は目指さなかった?

「目指しませんでしたねえ…。あまり実入りのいい仕事だって聞きませんでしたし。大手出版社や新聞社なら給与も保証されるんでしょうけれど…。成績はよくなかったし、出身大学も四流。大手は無理。だったら、堅実にOLをやりながら、趣味で文章を書こうと…」。

同人誌でビックリするような収益を上げたこともあった、とお聞きしています。

「まさに、それなんですよ!私のターニングポインは…」。

心美さんが手がけていたのは、知る人ぞ知る、の二次小説というジャンルでした。

「二次小説というのは、コミックなり、テレビドラマなり、という元ネタがまずありまして、その上で、それを題材に自由に小説を創作するという…。パロディ小説みたいなものですね」。

そこで心美さんが手がけていたのは、その当時、そういった二次小説ファンの間でとくに盛り上がっていた、スポーツ関連のコミックを元ネタにした恋愛ものだった。

「原作者が、アタマから湯気出して怒り出しそうな、そういう不道徳な小説を書いていたんですが…。なんか、固定のファンがついちゃって…。さらに、プレミアとか言って、一冊にめちゃ高値がついたり…。ここだけの話、ダラダラOLなんかしてるのがもったいないというくらいの金額を一月で手にしてしまったこともあります…。原作をお書きになっている本業の人気作家さんとは比べようもない少ない金額でしょうが、薄給のOLにしたら、ものすごい大金ですよ!」。

しかし、人気とともについてきたものがある。それは「ファンのこだわり、です」。

固定ファンの意向を気にして、自由に創作ができなくなってしまっていったのだとか。「同人誌を出すと、必ず購入してくれるファンありき、という感じになりまして…。またファンの方も、自分の思い通りに私の作品を書かせようと、コントロールしてくるようなフシも感じられて…」。

ああ!ありましたね、映画で。そういう話。

「そう怖くなってしまって…。というか、だいだい二次創作という、本編あってのパロディ作品なのに、なんかファンとか、おこがましいし、それにオロオロする私自信も嘆かわしいし、私は本業作家じゃないし、ただの一介のOLに過ぎないわけだし、二次小説は純粋に好きなことを、自分の楽しみのためだけに書くようにしよう!そう思ってきっぱり同人活動から足を洗いました」。

ファンは寂しがったんじゃないですか?

「いえいえ!書き手はいくらでもいますし、また誰か、好みの書き手を見つければいいことで…。なんだったら、自分で書いてもいいわ、っていつか気づくはずです」。

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